社外取締役 監査等委員
清水 亜希
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社外取締役 監査等委員
清水 亜希

脱炭素社会に向け
荏原実業グループが強みを最大限に発揮できるよう
ガバナンス強化やエンゲージメント向上への提言に注力してまいります

社外取締役としての役割

2022年3月の社外取締役就任にあたり、抱負をお聞かせください。

荏原実業は、「豊かな人間環境の創造を目指して社会に貢献する」という経営理念のもと、環境保全のエキスパートとしての長い歴史を有している企業です。その手掛ける事業そのものが地球環境の改善、持続につながるという点において、荏原実業グループの担う社会的役割は非常に大きいと感じています。

私は、これまで15年超にわたり、裁判官や弁護士の立場で企業等の紛争解決に当たってきました。その経験を踏まえ、荏原実業グループのコーポレートガバナンス、コンプライアンス体制のより一層の充実に向けて真摯に職務に取り組み、荏原実業グループの持続的成長、企業価値の向上を通じて、自分自身も社会に貢献できればと思っています。

ステークホルダーからの期待に応えるために、ご自身の経験をどのように生かしていきたいとお考えですか?

今日、企業には、ガバナンス体制の充実が求められることはもちろんのこと、コンプライアンスに対して、当該企業の関係者のみならず、社会全体からの厳しい目があります。私は、裁判官や弁護士として、企業が抱える紛争の解決、リスク管理に対処してきた経験を生かし、ステークホルダーに代わって、当社グループのガバナンス体制に法的問題はないか、事業に潜んでいる法的リスク、コンプライアンスの仕組み等について注視していきたいと考えています。

加えて、私は荏原実業グループにおいて唯一の女性役員であることから、ダイバーシティの観点から意見を求められることもあります。荏原実業は、女性の社員の割合、管理職への登用率も低い状況ですが、2025年に女性管理職比率5%以上を目標にしています。社会全体として、理系分野を学ぶ女子学生を支援しようという動きもあり、今後、荏原実業においても女性の活躍が期待されるところです。数字の達成にとらわれるのではなく、女性が真に活躍できる企業にするため、なぜ女性管理職が少ないのか、どのような体制が求められるのか、という視点で、組織の体制や環境等を見直すことが重要です。その上で課題の改善に取り組むことが、女性のみならず、全従業員にとって、ひいては会社全体としての成長につながると考えています。私自身も現役の育児世代であり、そうした視点も生かしながら、荏原実業グループのエンゲージメントを高め、より魅力的な企業になるための提言をしていくことができればと思っています。

ガバナンスの評価

当社のガバナンスの取組についての評価や取締役会の印象をお聞かせください。

当社は、2016年に監査等委員会設置会社に移行するとともに、任意の指名委員会、報酬委員会も設置され、その他、譲渡制限付株式報酬制度の導入、政策保有株式の縮減など、コーポレートガバナンスの強化に向けた取り組みがなされています。

取締役会においては、各議案について、社外取締役からも、それぞれの専門分野を踏まえて、忌憚のない質問や意見が提示され、丁寧な議論がされています。加えて、定期的に開催されるリスク・コンプライアンス委員会等にも社外取締役が出席して課題を共有しているほか、その他の会議内容も随時報告を受けており、経営における透明性の確保、ガバナンス体制の強化に努めている企業であるという印象を受けます。

2022年8月、橘社外取締役が取締役会議長に就任されたことにより、より一層、社内・社外取締役間の相互の意見交換が活発になりました。当社の規模で社外取締役が議長に就任する企業は少数ですが、鈴木会長・吉田社長からは、取締役会の監督機能を充実させるために、新たな取り組みをどんどん行っていきたいという意気込みが感じられ、私自身も社外取締役としての責任をしっかりと果たしていかなければと背筋が伸びる思いです。

当社グループに対する期待と課題

荏原実業グループが事業活動を通じて果たしていく役割、責任および中期経営計画EJ2024や長期ビジョンで注目されている点をお聞かせください。

荏原実業グループは、サステナビリティが注目される以前から、環境関連製品メーカーとして、製品の開発、製造、販売に取り組んできた企業です。気候変動による環境問題への対処が喫緊の課題となっている今日、その専門性・ノウハウを生かし、省エネ・創エネ分野の既存製品のブラッシュアップ、脱炭素社会に向けた新製品の研究開発を行うことが期待されていると考えます。また、自然災害による被害拡大を防止し、人の生命・くらしを守るための防災・減災製品は、その需要の増加、国や地方自治体との連携も期待でき、注目している事業分野の一つです。

さらに、企業における「ブランディング」も重要なポイントです。EJ2024においては、「EJブランドの確立」が掲げられていますが、投資家の目線からも、社員の目線からも、会社への愛着、誇りを持てるようなブランディングを期待しています。

当社グループの企業価値向上について

当社グループの中長期的な企業価値向上に向けたご意見やアドバイスをお願いします。

荏原実業グループの強みは、環境関連製品メーカーとしての専門性・ノウハウにあります。そのため、新製品の開発に向けて適切な研究開発費を確保して取り組んでいくことが、企業価値向上にとっての最重要ポイントであることはいうまでもありません。その上で、荏原実業グループに社外取締役として関わる中で、当社グループの事業は、いずれの部門においても、社員のエンゲージメントに支えられている部分が大きいと感じています。もっとも、現時点では、十分な人材を確保できていない状況もあり、人材の確保、育成が重要課題の一つであると考えています。人材の育成は、一朝一夕にできるものではありません。荏原実業グループの経営理念、事業戦略を踏まえて、どのような人材を採用し、どのように育成し、配置するかを長期的な視点で考え、取り組んでいくことが必要となります。全従業員が、健康で、かつ、意欲をもって働くことのできる体制作りが、荏原実業グループのこれからを支えていくことになると思います。